最近設立された会社「Planetary Resources(惑星資源)」が野心的なプランを発表しました。 莫大な価値を持つ貴金属や宇宙旅行に必要な水を、地球近傍の小惑星から取得するというものです。 当面は利益は求めず、実現に向けた技術開発のための予備的投機的事業となるということです。

小惑星の採掘自体は新しいアイデアではありません。 最初の提唱は100年ほど前までさかのぼります。 1996年には、アリゾナ大学の地球惑星科学の研究者、John S. Lewisがその著書'Mining the Sky'において、小惑星採掘の可能性を示しています。 また、最近、科学者と技術者のチームによって、地球近傍の小惑星を捕獲し、研究開発のために月軌道上に運んでくるという計画が公表されました。

過去のプロジェクトに欠けていた二つの要素、宇宙開発に精通したマネージメントチームと投資意欲のある資産家の存在が、Planetary Resourcesの計画に信憑性を持たせています。 マネージメントチームには惑星科学者、火星探査車のエンジニア、そしてLewis自身が名を連ねており、投資家の一人はソフトウェア開発の重鎮で宇宙旅行の経験者であるCharles Simonyiです。

「これはNASAに対する投資としては適切ではないだろう」とSimonyiは記者会見で述べています。 「民間企業の参入が適切で、民間投資家がリスクを取るのが良いと思います。」

計画では、今後10年間で三段階のアプローチを行います。 まず、一連の小型衛星望遠鏡で多数の地球近傍天体(Near Earth Object; NEO)を発見し、追跡します。 次に、無人探査機群を有望な天体に向かわせ、資源の埋蔵量を調査します。 最後に、無人採掘機を着陸させ、天体の採掘を行います。 Arkyd 101と名付けられた最初の小型望遠鏡は現在製作中で、二年以内に打ち上げられる予定です。

  • 'ASTEROIDS | Mining for Fun and Profit' J. Kelly Beatty, Sky and Telescope誌, 2012年8月